健康コラム

インフルエンザワクチンの製造・市場流通について

インフルエンザワクチンの製造・市場流通について

  • 製造過程について
  • 株の選定について
  • 市場流通について

医療機関がワクチンを発注しても、その数が希望どおりそのまますぐに一度に到着するわけではありません。製造過程での説明の通り、ワクチンが生ものであること、9月下旬以降、2〜3カ月間にわたり出荷が続く(一度に市場に全量供給されない)ためです。地域偏在や返品・廃棄が極力少なくなるよう、メーカーのみならず流通各社においてシビアにコントロールされています。
(当院では常に在庫があるよう、発注と在庫の調整に努めていますが、接種希望の方が集中したりすると、在庫が薄くなり、ご来院頂くタイミングによっては、数日お待ちいただくケースもあります。)

具体的には、昨年度までの発注・納入・返品実績を考慮して、配分数が決められているようで、数量を多く発注した医療機関については、その医療機関の在庫数、使用数についても随時チェックされています。なお、前年度の実績がない新設医療機関はこの方法では不利になるため、一定の調整が行われています。

製造過程について

インフルエンザワクチンは、ニワトリのたまごから作ります。

さらに、有精卵である必要があります。したがって、卵を産んでくれるニワトリたちとオスのニワトリを確保するところから始まります。ワクチンに適した卵は生後6カ月から1年以内のニワトリの産む卵とされていますので、この段階で、一年以上の準備が必要です。

日本全体で毎年6,000万人分くらい作ります。おとな1回分が卵1〜2個分必要ですが、今のワクチンは4価ワクチンといって、株の種類としては4種類の株を一度に接種していますので、4〜8個(?)必要なはずです。

最終的に製品をつくる工場はワクチンの箱に記載してあるものの、卵をどこで作っているかは(防疫や安全保障上の観点から)秘密のようですが、日本では北海道より西のほうだと思われます。

メーカーや工場の製造効率や歩留まりで変動するものの、おおよそ下記の手順で作ります。

産卵後、11日前後ふ卵器で温め、感染力のあるインフルエンザウイルスを注入、穴をふさいでふ卵器に戻し、3〜4日温めると、内部でウイルスが増殖しており、これを取り出し、ウイルスを抽出、不活性化してワクチンにします。

制作する過程で、ニワトリの卵を使用しますので、たまごアレルギーの方は注意が必要です。ワクチンは摂取する量が少ないので、パッチテストを行って、影響が小さいことを確認したうえで接種することも可能ですが、接種に伴う利益・不利益を考慮して、接種しないという選択肢も考える必要があります。アレルギーの反応が激しい方は、たとえ量が少なくても重篤な反応が出る可能性があるためです。アレルギーのある方や過去の摂取で副作用があった方は、必ずご申告下さい。

株の選定について

インフルエンザウイルスには数多くの種類が存在しています。すべての株・型を製造・摂取することはできないため、次シーズンに流行する型を予測し、接種する株・型を決定します。

接種する株の選定については、WHOが作成した推奨リストを基に検討し決定しています。世界中に張り巡らされた観測網を駆使し、次のシーズンに流行する株を推奨しています。ここのWHOの推奨の精度が近年上昇しており、過去に比べて期待されるところです。

WHOが公表・・・例年、2月末まで
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国内メーカーが製造確認・・・1カ月前後
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感染研で検討
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厚生科学審議会で最終的な検討・決定・・・2020年は、4月6日、23日
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製造開始
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出荷開始は9月下旬以降

インフルエンザワクチンの市場流通について

2020年(20-21シーズン)については、3,178万本の製造が計画されています。
(1本=1mlですが、大人一人は0.5ml使用しますので、大人換算で6,356万人分、前年比12%増)

例年ですと9月下旬から工場出荷が始まり、10月初めから市場流通します。10月第一週の供給量は、1,000〜1,500万本、11月4週までに3,000万本前後の出荷が終わることが多く、今シーズンも同様かやや前倒しで計画されています。
一方、株の選定後、ワクチンの製造に入るものの、株種によって製造効率が異なり、卵のなかで算出する有効成分量に依存するため、株の選定に手間取ったり、選定後の製造過程で特定の株の製造効率が落ちて製造が遅れた年は出荷ペースが著しく低下し、その分市場への供給が遅くなります。
例えば、平成29年のシーズンは、10月第一週時点の供給量が低調で500万本からスタートした後、12月4週まで出荷が続きました。

したがって、計画通りに生産が進んだ年と遅れた年で、供給ペースに違いが出るほか、流行が早く始まると接種ペースが速くなりますので、これらの要素でワクチンのひっ迫感が年ごとに異なってきます。

さらに、市場への供給が終わった後は、市場在庫で希望者に対応することになりますが、地域や医療機関による在庫の偏在があると、早く接種が終わる地域・医療機関がある一方、供給が受けられる地域・医療機関については、遅い時期まで接種が受けられる可能性があります。また、前述の通り、日本国民全員分のワクチンは作成されないことから、接種を希望される方は、早めの接種を

 

参照:厚生労働省-インフルエンザワクチンの供給について

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