胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)
「胃カメラ検査」は、一般的には「胃内視鏡検査」、正式には「上部消化管内視鏡検査」と呼ばれています。スコープを鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸などを直接観察できる検査です。挿入するスコープの先端にはカメラ、ライトが内蔵されており、モニターで観察しながら検査します。検査中に胃がんや胃潰瘍などの直接診断に加え、病変部の採取や治療が可能です。色素散布を行いより精緻に検査します。
現在では、直径5~7mm程度のスコープを鼻から挿入する経鼻カメラの使用が多く、当院でも第一選択肢となり多用しております。かつて一般的だった口からの経口カメラに比べて細く、喉を通らないことから(おえっとする)嘔吐反射が少なく、患者様の負担の軽いカメラとなっています。検査中の会話も可能です。
一方、経口カメラの場合は、直径8~9mm程度と若干太くなります。のどを通るため、嘔吐反射があり、鎮静剤や麻酔の使用が適切でないと患者様の負担が大きく、過去に痛く苦しい経験をされた方はこちらのカメラでの経験ではないでしょうか。ただ、デメリットばかりと思われるかもしれませんが、鼻の通りが悪い患者様や、鼻からのカメラに比べ直径が大きい分、画像の解像度が高く、より小さな病変の観察、より高度な治療に適しております。
明らかに解像度の劣る経鼻カメラ一辺倒でそればかりを強調する風潮はいかがなものと存じます。患者様の負担の大小を左右するのは、最終的には検査者の経験と技量、そして看護師を含むスタッフから患者様への配慮だと考えており、麻酔の適切な使用、やさしく丁寧な検査を心がけています。
当院では、内視鏡検査に限らず、新型肺炎感染予防に特に留意しております。
内視鏡検査(胃カメラ)においては、経口よりもはるかにリスクの低いとされる経鼻カメラ(内視鏡学会HP)による実施とさせていただき、十分な広さがある方の内視鏡室のみを使用し、外気直接取り入れによる換気、状況によっては常時換気とさせていただいております。
外気取入量が多く、室温が低い場合もございますが、ご理解とご協力をお願いします。
どんな人が受けたらいいの?
がんの治療を受けた方
下記にかかわらず、主治医の指示に従ってください。
自覚症状のある方
すぐに受けてください。良性な症例か悪性な症例か速やかに見極めることが重要です。
具体的な症状
- 胃・みぞおちの痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振。
- 出血による貧血や黒い便(ただし、胃がんだけではありません)。
- 食事がつかえる、体重が減る。
- 食事がつかえる、体重が減る。食物を飲み込むときにしみたりチクチクしたりつかえ感がある。
- 水を飲むときは無症状だが食物(固形物)のときに症状が出る。
これらのような症状があれば、定期検診を待たずに検査しましょう。
各種検査で要観察、要検査と判定された方
すぐに受けてください。最近では患者様の負担の少ない検査が可能です。早期発見、早期治療で完治が望まれる一方、悪性症例であった場合放置すると致命傷になります。
自覚症状がなくても前回検査から時間が経過している方
がんは早期の段階では無症状のことが多く、自覚症状が出てきた段階では手遅れというケースが多いです。早め早めの検査が有用です。かつては40歳以上、2016年の国の新しい指針では50歳以上の方に、2年に一度の胃がん検診(X線)が推奨されていますが、任意検診である人間ドックは30歳以上、企業の健康診断などは年齢にかかわらず年1回の頻度で行われることが多いため、その際に内視鏡検査を積極的に選択するなどしましょう。したがって、自覚症状がない場合は、年1回程度の検査が有用ではないでしょうか。
また、X線検査・バリウム検査よりも、X線照射がなく、直接観察のできる胃カメラのほうがより微小病変の発見に有効であると考えられます。
当院の胃カメラ検査の特徴
- 土曜日でも検査が可能
- 予約なしでの検査が可能
ただし、前日よる9時以降に食事をされていないこと。できるだけ早い時間に夕食を済 ませて、よる9時以降は、水、お茶等の摂取にとどめてください。
なお、受付時間終了間際の来院は、前処置に時間を要するためあまりお勧めできません が、緊急を要する場合などがあると思いますので、ご相談ください。
検査の流れ
前日のすごし方
- 前日よる9時以降に食事をされていないこと。できるだけ早い時間に夕食を済ませて、よる9時以降は、水、お茶等にとどめてください。
当日の朝
- 検査当日は、検査終了まで食事はできません。
- 服薬については早めにしていただきますが、かかりつけ医がいらっしゃる場合は事前にご相談ください。
検査は十分注意しておりますが、検査で色素を使用したり、唾液や胃液で汚れることがまれにありますので、ご留意ください。
来院
- 受付をお済ませください。
検査準備・前処置
- まず、胃内部をくまなく観察できるよう、泡を抑える薬(消泡剤)を飲みます。消泡剤はコップ半分程度です。飲んだ後、ベットの上に横になり、まんべんなくいきわたる様、体を左右に数回回転していただきます。
- 次に、鼻の通りをよくする薬(血管収縮剤)を両方の鼻腔に噴霧します。
- 最後に、鼻腔に麻酔をします。
麻酔には、鼻腔に噴霧する方法、鼻腔に注入する方法、柔らかいチューブに塗って挿入する方法があります。患者様によってことなりますが、ゼリー状の薬剤を数回に分けて、効き具合を確認しながら注入します。
検査
- 内視鏡室に移動していただき、検査用のベッドに横になっていただきます。
- スコープを挿入します。
- 鼻腔・咽頭の観察を行い、食道を観察します。
- 食道がんは中部、下部の順で発生が多く、食道粘膜の炎症の有無とただれ具合などをよく観察します。
- 胃の噴門部(胃の入り口)は胃がんばかりでなく、この周辺の筋力の低下によって引き起こされる逆流性食道炎のキーになる部位で、よく観察します。
- 胃の内部と胃の出口にあたる幽門部をチェックしたら胃を通過し、まず十二指腸を観察します。
- 十二指腸の後、胃の観察を行います。胃内を観察し、異常がある場合は、色素散布および胃の組織の一部を採取することもあります。
- 異常がなければ、5~10分で終了します。
検査終了後
- 検査結果を説明致します。
- 生検には、検査機関での検査に約14日程要します。
終了後の飲食
- 約30分後から可能ですが、軽い食事をお勧めします。特に組織採取をした場合には刺激物は避け、食べすぎには注意してください。
胃カメラ検査の費用
胃カメラ料金について
胃カメラ・胃内視鏡検査のおおよその料金は下表をご覧ください。
事前に詳細な金額の内訳などを確認されたい方は、ご遠慮なくお問い合わせください。
基本的に胃内視鏡検査は保険適用で実施することができます。
下記の表は参考金額です。実際の診療内容によって金額は変動いたします。
検査(治療)内容
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|---|
胃カメラ検査のみ | 約1,500円 | 約3,000円 | 約4,500円 |
胃カメラ検査および 病理組織検査を実施した場合 |
約3,000円 | 約6,000円 | 約9,000円 |
胃カメラ・胃内視鏡検査は、基本的には保険が適用されます。ただし、まれにですが、医師が胃内視鏡検査の必要なしと判断したものの、患者様の希望で胃内視鏡検査を施行した場合は、自費です。
また、お住まいの市町村によっては胃内視鏡検査が健診項目にある場合があり、保険適用よりも低額の場合があります。