過敏性腸症候群

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれ、腸にポリープや炎症などの疾患がないにもかかわらず、慢性的(1カ月前後以上)に腹痛を伴う下痢や便秘などが起こるのが特徴です。排便をすると症状が軽減する傾向があります。原因は諸説ありますが、自律神経が異常を起こし、腸の蠕動運動にトラブルが生じることで発症すると考えられています。過敏性腸症候群の治療は消化器内科で行います。大腸内視鏡検査を行い、がんなどのより重篤な病気でないことを確認してから治療を開始したほうがいいでしょう。

現代社会で急増している疾患の一つです。症状のない方にはわからないかもしれませんが、深刻な場合は生活に支障をきたし、人生の質にも影響します。なお、慢性的(1カ月)は、あくまでも目安であり、実際には1~2週間続いた場合はは注意したほうがいいでしょう。

セルフチェック~こんな症状はありませんか?

セルフチェックリスト

過敏性腸症候群のチェックリストです。なお、8~10に1つでも該当する場合は、別の重篤な病気である可能性があります。

  1. お腹の調子が長期間(数週間)不調、もしくは痛みがある
  2. 便通異常(下痢や便秘)が続いている
  3. 便の形が悪い時期が続いている
  4. 排便をすると痛みが一時的に和らぐ
  5. 排便の回数が不規則
  6. 排便しても残便感がある
  7. 便秘が続き、便が出たとしてもコロコロとした便しか出ない
  8. 便に血が混ざる
  9. 体重が減少
  10. 夜中におなかが痛くなり目が覚める

1~7の症状がある方は、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)が疑われますが、8~10までの症状もある方は、より重篤な病気の可能性があります。

<下痢型>
若い男性に多い傾向があります。(詳細

<便秘型>
女性に多い傾向があります。(詳細

<混合型>
下痢、便秘が交互におこります。(詳細

傾向としては、下痢型は若い男性、便秘型は女性に多い傾向があるようです。後述の通り原因は諸説ありますが、腸の働きにもホルモンの影響があるためではないでしょうか。

腹痛、便秘、下痢などの症状により、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。お困りの方はお気軽にご相談ください。

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれます。腸にポリープや炎症などの疾患がないにもかかわらず、慢性的に腹痛を伴う下痢や便秘などが起こって、排便すると痛みが軽くなるのが特徴です。大きなストレスを感じることで自律神経が異常を起こし、腸の蠕動運動にトラブルが生じることで発症すると考えられています。

現代社会で急増している疾患の一つです。

消化器領域の疾患の中でも特に患者様が多い疾病です。先進国で多く日本人の10~20%(文献によりばらつきがあります)前後と推計されています。生死に直接かかわる病気でないと認識されつつある一方、下痢の症状が強く出た場合、通勤通学時間帯に強い症状が出やすく頻発した場合には、日常生活に大きな制約がかかり、心身ともに疲弊してしまう病気でもあります。その患者様の人生の質に大きく左右する病気であるともいえます。

定期的にひどい便秘に悩まされたり、緊張したときにおなかが緩くなる場合には、過敏性腸症候群の可能性が高いでしょう。日常生活から考えられる原因は、不安や緊張などの精神的なストレスが挙げられます。

過敏性腸症候群の原因は?

ストレスだと考えられています。
ただし、
ストレス=気のせい、気の持ちよう ではありません
ストレスが原因となるメカニズムについて考えてみましょう。

  • 腸は、摂取した食物を便として排出する必要があり、肛門方向に移動させる収縮運動を行っています。
  • 脳は、腸の動きを感じとる必要があります。コントロールするためです。

したがって、腸と脳は深い関係にあるため、脳が強いストレスを感じた場合には、腸の蠕動運動に異常が生じて、下痢や 便秘などの症状が発生することがあります。

ストレス → 不安状態 → 自律神経の内分泌が促進 → 腸の収縮運動激化

また過労や睡眠不足などの身体的なストレスが原因であることも考えられます。過労や睡眠不足により体に疲れが生じたり、食事や睡眠など不規則な生活が続いた場合には、体が大きなストレスを感じることになります。すると同じように腸の蠕動運動には変化がおこり、異常な活発化によって下痢がひきおこされたり、反対に蠕動運動が鈍くなり便秘を引き起こすことにもなります。

他には、内臓知覚過敏(わずかな刺激でも痛みとして脳が感じてしまうという説)、食物アレルギー(摂取により症状が現れるという説)、腸管炎症(表層には見えない微細な炎症があるという説)などの説があります。

症状は?

主な症状は、便秘型と下痢型、そしてこの二つが数日ごとに交互に現れる交代型(混合型)の三つが挙げられます。

<下痢型>
急激な腹痛とともに1日3回以上の水のような便が排出される

<便秘型>
週3回以下に排便の回数が減少
排便時には腹痛があり、強く息まなければ便が出ず、ようやく出たとしてもウサギの糞のようなころころとした便が出て、残便感が残るのが特徴

<混合型>
下痢と便秘が交互にやってきます
傾向としては、下痢型はストレスを感じると下痢になるタイプで若い男性に、便秘型はストレスを感じると便秘になる女性に多い傾向があるようです。後述の通り原因はいまいちですが、性差があるのは腸の働きに性ホルモンが一定の影響を与えているためだと考えられています。なお、分類不能型もあります。基準としては国内だけではなく、国際的な基準(2006年に制定された基準)となっており、世界的な悩みといえます。

過敏性腸症候群が疑われるときは?
診断は?

診断は2006年に制定された国際基準であるローマⅢ基準を用います。

IBSの診断基準(ローマⅢ基準)

  • 最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
  • 下記の2項目以上の特徴を示す
    1)排便によって症状がやわらぐ
    2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
    3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

確定診断には、検査が必要です。これらの症状は、「過敏性腸症候群」特有のものではないからです。内視鏡検査を行い、がんなどのさらに重篤な処置を要する病気でないことを早期に確認する必要があります。検査せずに治療を始めるのは、前がん状態や早期がんを見逃す可能性があり、まずはがんではないことを確認することが重要です。

検査せずに治療を始め、数か月たっても症状が改善せず、検査に来院されるケースもあり、何もなければいいのですが、何か重篤な病気であった場合は残念な結果になりかねません。

具体的な方法

  1. 診断基準では、病歴を重視しています。体重減少、身体所見上の異常ある場合、危険微候(アラームサイン)有りは、器質的疾患の除外を確実に行う。
  2. 50歳以上、過去に大腸の既往歴あり、家族にも既往歴ありなどの危険因子がある場合も同様。
  3. 器質的疾患を除外する方法としては、大腸内視鏡検査、消化管造影検査(大腸)が最も確実。
  4. スクリーニング検査とする場合は便潜血検査が望ましく、大腸ポリープ、癌、潰瘍性大腸炎、クローン病などでは陽性になることが期待されるため。(しかし内視鏡検査がより有用なことは言うまでもありません)
  5. 甲状腺や膵臓の異常でも便の異常が起こりますので、血液検査、尿検査必須。
  6. 状況によっては超音波、CTも使用する必要があります。

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過敏性腸症候群の治療について

IBSと診断された場合

がんなどの器質的な疾患が否定できたところで、「ひとまず安心」です。ゆったりとした気持ちで治療専念しましょう。
治療は、生活改善と服薬治療です。

  • 食習慣や生活習慣の改善
    暴飲暴食を避けて3食を規則的に摂る、高脂肪食を控える、アルコールを控える、ストレスをためず睡眠・休養を十分にとる、など
  • 服薬治療
    IBSを下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分類し、さらに便の形でも分類し、腹痛などの症状を考慮し、内服薬を決定

の2つが第一に選択される治療法です。さらに、ストレスも原因であると考えられる場合や他の症状がある場合はあわせて治療を行ない、それでも改善しない場合は、抗不安薬などの心理的要因の改善が期待される薬も考慮します。

では、具体的にはどのような治療をするのでしょうか?

①食習慣や生活習慣の改善

  • 暴飲暴食を避ける
  • 3食を規則的に摂る
  • 高脂肪食を控える
  • アルコールを控える
  • ストレスをためず睡眠・休養を十分にとる、など

ここまでは、ガイドラインに記載されている内容です。もっともなことですが、あまり書きたくない内容でもありました。これらの内容は、来院された患者様の多くがすでに気が付かれており、知らずしらずのうちに実践されていることも多いような気がしています。特に暴飲暴食などはしたくてもできないはずで、これをやってしまうとすぐに症状が悪化してしまいます。特定の食品によって症状が悪化するなども患者様によってはあるようで、そのあたりも実は患者様はすでに詳細に把握されて来院されるケースが多いようです。長く悩まれていてもなかなか来院されにくいものと存じます。なお、ガイドライン上は、生活改善を図られて改善がみられなかったら服薬治療を開始すると記載されていますが、すでに実践されており改善しなかったという前提で服薬を開始することも考えられます。

以下有用であると思われる情報を列記します。

  • 便秘型の人は、食物繊維の多い食品を摂取する
  • 下痢の方は、香辛料など刺激の強いものの摂取を控える、消化の良いものをためる、脂っぽいものは食べない
  • 症状を誘発しやすい食品を控える
  • 発酵食品は症状の軽減に有効
  • 適度な運動 (症状の軽減が期待されます)

②服薬治療

お薬による治療です。

<下痢型・便秘型・混合型などすべて>

  • 消化管機能調節薬 腸の運動を整える薬
  • プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌などの菌の製剤)
  • 分子重合体 便の水分バランスを調整する薬

<下痢型>

  • セロトニン3受容体拮抗薬(5-HT3拮抗薬) 腸の運動異常を改善させる
  • 止痢薬

<便秘型>

  • 粘膜上皮機能変容薬 便を柔らかくする薬

<全般>

  • 抗コリン薬 お腹の痛みに効用
  • 下剤 便秘に対し頓服使用

IBSを下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分類し、さらに便の形でも分類し、腹痛などの症状を考慮し、内服薬を決定

③心理療法

ストレスも原因であると考えられる場合や他の症状がある場合はあわせて治療を行ない、それでも改善しない場合は、抗不安薬などの心理的要因の改善が期待される薬も考慮します。

 

過敏性腸症候群(IBS)なら新井病院へ
新井病院では、過敏性腸症候群(IBS)の方、または疑いのある方の治療を行っています。
消化器専門医・内視鏡専門医が診察から治療まで行います。まずは一度ご相談ください。症状が長く続くと悪化しますので、がまんせずに早い時期にご遠慮無くご来院ください。

医療法人社団 新井病院(北海道十勝)

診療科
総合内科、消化器内科、胃腸内科、内視鏡内科、禁煙外来、生活習慣病健診、人間ドック

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は予約が必要です。

胃カメラ(胃内視鏡検査)は、受診当日、予約なしでも検査が可能です。ただし、検査前は絶食していただく必要があります。詳しくは胃カメラのページをご覧ください。

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