よくある質問 Q&A

Q 人間ドックや検診前に食事やお酒を絶飲絶食すれば、結果はよくなりますか?

A.状況によりますが、前日だけ頑張るというのはあまりよくないかと思われます。

特に、血液検査についての御心配かと思われます。
検査は病気を見つけるために行うものです。

  • 普段と違った食生活をされて、その場だけ仮にいい数値を記録されること
  • そのことによって何らかの病気の兆候を見逃す可能性が高まる不利益

の双方を比較すると、どちらが患者様のためになるのか、という根本的な命題にたどり着きます。そのあたりの事情をよくご理解いただいているという前提で、以下をお読みください。

検査項目によっては、前日や数日前の食事の内容に強く影響される項目があり、絶食絶飲(絶飲はお酒と甘い飲み物)が非常に有効な場合があります。(詳しくは健診・検査項目ごとのご案内をご覧ください)

例えば、
糖尿病の判定に使われる検査項目として下記の2つが有名です。

  • 血糖  ⇒その時々の値が記録される
  • HbA1c ⇒数週間単位で血糖値の影響を受ける

比較してみましょう。

  • 血糖値は、文字どおり血中の血糖値を表しています。血液検査で計測するのは通常空腹時の血糖値です。絶食そしてカロリーのある飲み物を飲まないで、カロリーのない飲み物だけを飲んで過ごした場合、血中の糖分が消費されて、理屈の上ではかなり低くなることが想定されます。
     ⇒ただし、その気になって実践するのは、かなり危険を伴うことが想定されますのでお控えください。糖尿病の方(糖尿病でなくとも健康体の方もそうですが)が、この様なことをすると、低血糖状態となり、ふらついたり、場合によっては気を失って倒れたりしてしまいます。日常の生活を送られていても、身体に危険を伴う状況に陥る可能性があります。仮にできたとしても、低血糖な状態を長時間継続することは頭によくありません。
  • HbA1c
    ヘモグロビン、グリコヘモグロビンなどと呼称されます。
    赤血球は酸素を運ぶ役割がありますが、赤血球の中に存在するヘモグロビンが酸素を運ぶ役割を担います。通常は、酸素濃度の高い肺で酸素と結合し、体の隅々まで行きわたり、酸素濃度・酸素分圧の低いところで酸素を放出します。(二酸化炭素は、赤血球に取り込まれますが、ヘモグロビンではなく、赤血球にある酵素(こうそ)の働きで炭酸になり血漿成分によって肺に運ばれ肺から排出されます)。

    また、ヘモグロビンは糖分とも結合します。血糖値が高い状態ほど結合しやすくなります。ただし、ヘモグロビンは糖分と結合すると、酸素と違い容易に離れたりしません。一度結合するとはなれないので、グリコヘモグロビンとなって蓄積してしまいます。

    赤血球には寿命があり、およそ4カ月、120日前後であると考えられていますが、そのあいだどんどん蓄積してしまいますので、HbA1cについては、過去4カ月程度の血糖の状態を反映した数値となります。したがって、数週間、あるいは、1~2カ月といった単位で血糖値の上昇を抑制しなければ、HbA1cの低下は明確には現れない、といった特徴があります。

では、HbA1cを低下させるためには、どうしたらいいのでしょうか?
血糖値が高い状態を短くする、ということが重要です。つまり、絶食あるいは糖分を摂取しないということではなく、食事などで血糖が上昇しますが、その高い状態を継続させない、極力早く低下させる、上昇する高さ・最高値をできるだけ抑制する、といった方策のほうが重要なのです。したがって、

  • 間食をしない
  • 飲み物もカロリーのあるものを飲まない
  • 体内への吸収速度が遅い食べ物をより多く食べる
  • 食後30〜1時間のところで運動をする

ということが望まれます。糖分の摂取する時間を限り、摂取したとしても血糖値が急激に上昇することを抑制し、血糖を運動によって消費し上昇した血糖値を早く低下させる、といった努力が有効です。

実際の治療には、血糖値を下げる薬を使いますが、薬と利用しつつ上記4つを実践することが重要となります(単純な服薬だけでHbA1cを下げるよりはるかに効果がある、と思います)

脂質異常症の判定に使われる指標についても見てみましょう。
下記の検査項目が有名で御存知の方も多いかと思います。

  • HDLコレステロール
  • LDLコレステロール
  • 中性脂肪

このうち、中性脂肪は、目先の食事を調整(絶食)するだけで比較的短期間のうちに低い値にすることが可能であると考えられます。(体内で生成されるというより)摂取・吸収される食事の影響を強く受ける傾向にあるためで、摂取量を減らすと、数値も比較的早く低下すると思われます。

一方、HDLコレステロール、LDLコレステロールについては、すぐには影響が出ないように思われます。これは、コレステロールは、体外からの摂取による吸収量もさることながら、体内で生成している量も多いからだと考えられます。

  • 体外から摂取される量 20%
  • 体内で生成される量  80%

コレステロールは、体内組織を構成する物質(細胞膜)やホルモン、消化液という機能もあり、肝臓で生成されます。多くは消化液として胆嚢に貯蔵された後、十二指腸から分泌され、食事で摂取した肉を消化するための消化液として働きます。分泌によって体外に排出されるのだからその分減るのでは、と思われるかもしれませんが、多くは腸で分解された栄養とともに小腸から吸収され回収されてしまいます。

それでは、コレステロール、特にLDLコレステロールを低くするにはどうしたらいいのでしょうか?
これには薬が一番効くのかもしれません。

食事による摂取量を減らしたり、0にすることができても、もともと、食事による摂取割合が少ないためです。体内で生成される量のほうが多いので、効果が限定的であること、体外からの摂取量が少なくなるとそれを補おうと生成量が増えてしまう可能性が考えられます。

したがって、体内で生成される量を減らすことが現実的です。具体的には、

  • 肝臓での生成量を抑える効果のある薬
  • 体外への分泌を促す薬
  • 十二指腸から分泌されたコレステロールの小腸での吸収を阻害する薬
などがあります。
特に、肝臓での生成を抑制する働きのある脂質降下薬のなかでは、スタチンが有用です。世代が進み、最新のものは第3世代となり、従来のスタチンと比較しても強力な薬が登場しており、低下が期待されます。

ところで、コレステロールは少なければ少ないほうがいいのでしょうか?
動脈硬化が進んでいる、狭心症や心筋梗塞になった方など、とにかくLDLコレステロールが低いことが望まれる、という方がいるのも事実です。しかし、コルステロールは、

  • 脳      30%
  • 筋肉     30%
  • 肝臓     30%
  • その他の内臓 30%

に分布しており、極端に低い状態が続くと体に良くないことが考えられます。高いのも困りますが低すぎるのも困ると考えられます。

なお、何もしていないのにコレステロール値が低い場合には、甲状腺や肝機能障害などが考えられます。

いずれにしても、その場しのぎで一部の検査数値をよく見せることよりも、ありのままの自然体で検査に臨まれて病気の兆候を見極め、本格的な治療に臨まれることをおすすめします。

 

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新井病院(北海道十勝)

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